|
|
|
|
人間は自分に必要な道具を生み出し、工夫して今日の文化を作り上げてきました。生きるために必要な物を作り出すと言う基本的な個々の作業は、近年になるとますます縮小傾向にあることは周知のとおりです。実際に自分の手で物を作り考えて行動できる環境が
いま我々の周りに充分あるのでしょうか。発達した機域文明の中で便利な社会生活は情報過多になり、実際に汗を流し心に感じるような実体験を得ることが果たしてできるのだろうか疑問です。人間の感性は実体験を通して形成されるので、豊かな実体験を得ることは特に教育時期において最も大切であると考えられています。
豊かな感性は創造的な人間を生み出します。しかし、残念ながらそれは近年の合理主義的競争原理の中では生かされがたく、後回しにされがちです。どんなに便利で快適な生活ができても、不安定な冷たい社会では人間は正しく生きることは大変難しいと思います。
人間の感性を活性化させ、維持するに適した芸術を身近に整備することが今最も大切であると思います。 |
|
|
2003 in 大田原について |
7回目になる今年のシンポジウムはドイツ、イタリアと日本の石彫家5名、木彫家3名合わせて8名の作家を招聘致しました。
「ふれあい・人・自然」をテーマに、作家と市民が共に感動できる楽しい場を持ちたいと願いながら、7月22日より約40日間の日程で公開制作は始まりました。
大田原市ふれあいの丘研修施設は芝生に覆われた小高い丘にあり、そこに併設された創作工房で寝食を共にして制作に励みました。
毎年なんとなく共通語は英語と決めて始まるのですが、今年もイタリア語、ドイツ語、日本語が入り混じり、心通う不思議な大田原語が出来上がり、深い意思疎通が図られたことを確信しています。
その中で特筆すべきことは、将来を担う中学生の諸君(大田原市立金田北中学校美術部)が2日間テラコッタ制作でシンポジウムに参加をしてくださったことです。彼らは旋風のように新鮮な感覚と自由な発想で我々を刺激し、又、実に楽しい時間と見事な作品を残して行きました。殊に我々を喜ばせたことは、彼らから頂いたお手紙の中に「芸術家は才能が無いと成れないものだと思っていたが、努力が何よりも大切であることに気が付いた。」とつづられた言葉であります。ますます世界が暗い方向に進む中、どっこい!大田原の未来は明るいものだと実感いたし、心弾む思いを致しました。
40日間は和気藹々と瞬く間に過ぎ、個性的で質の高い作品が出来上がりました。この期間近隣に住まわれる市民の皆様を始め、多くの方々には暖かいご支援とご協力を沢山頂きました。大田原市内に作家達の力強い個性豊かな彫刻を設置することで感謝の気持ちとさせていただきます。 |
|
イベントについて |
8月2日、夏の風物詩である与一祭りの武者行列に参加をして市 民との交流を図りました。
8月10日、子供たちや市民が公開制作をする作家lこ接しながら自己制作することで創造の喜びを感じ、より豊かな感性を育むことを目的とした「親子鋳物教室」と「子供テラコッタ教室」を開きました。
その他にも「子供美術相談」や、彫刻に興味のある県民を対象に「私も彫刻家」と題して、2週間ほど作家と共に制作をする機会を設けました。いずれのイベントも多数の参加者があり、成功裏に終了することができました。 |
|
|
展示・設置について |
11月1日より、大田原市街地に、石彫作品5点を設置し、木彫作品3点は大工房展示室にて15日間展示を致します。
なお、作品は実行委員会lこ帰属され、大田原市内に設置保存されます。 |
|