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オルガナイザーとして |
人間は自分に必要な道具を生み出し、工夫して今日の文化を作り上げてきました。
生きるために必要な物を作り出すと言う基本的な個々の作業は、近年になるとますます縮小傾向にあることは周知のとおりです。実際に自分の手で物を作り考えて行動できる環境がいま我々の周りに充分あるのでしょうか。発達した機械文明の中で便利な社会生活は情報過多になり、
実際に汗を流し心に感じるような実体験を得ることが果たしてできるのだろうか疑問です。人間の感性は実体験を通して形成されるので、豊かな実体験を得ることは特に教育時期において最も大切であると考えられています。
豊かな感性は創造的な人間を生み出します。しかし、残念ながらそれは近年の合理主義的競争原理の中では生かされがたく、後回しにされがちです。どんなに便利で快適な生活ができても、不安定な冷たい社会では人間は正しく生きることは大変難しいと思います。人間の感性を活性化させ、維持するに適した芸術を身近に整備することが今最も大切であると思います。 |
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2004 in 大田原について |
今年で8回目のシンポジウムとなりました。「ふれあい・人・自然」をテーマに、作家と市民が芸術を通して、ともに感動できる楽しい場を持ちたいと願いながら7月20日より約40日間の日程で公開制作は始まりました。
彫刻シンポジウムは芝生に覆われた小高い丘の上にある大田原市ふれあいの丘研修施設に併設された創作工房で寝食を共にして制作が行われます。
今年はアメリカ、韓国、セルビア・モンテネグロと日本から8名の作家を招聘いたしました。
毎年なんとなく共通語は英語と決めて始まるのですが、やはり不思議な世界共通語(大田原語)が出来上がり、深い意思疎通が図れたことを確信しています。
会場に持ち込まれた材料の石は一人平均6トンを超えました。また木は長さ4メートル、末口80センチの樟の大木でした。今夏は記録を更新する猛暑に見舞われましたが、雨も名物の雷も少なく、作家同士助け合いながら順調に作品を仕上げることが出来ました。期間中会場を訪ねてくれた記録的な数の市民や芸術家、他県の人々との友好的な繋がりは今年のシンポジウムの特徴だと言えることでしょう。
また、もう一つの特徴は、将来を担う2校の中学生(大田原中学校、北金丸中学校)の美術部の諸君が2日間シンポジウムに参加をしてくださったことです。彼らは木彫や石彫、テラコッタ制作と様々な素
材に挑戦いたしました。彼らの自由な発想と感覚は我々を大いに刺激し、40日間は和気藹々と瞬く間に過ぎ、個性的で質の高い彫刻作品が出来上がりました。この期間近隣に住まわれる市民の皆様を始め、多くの方々には暖かいご支援とご協力を頂きました。
大田原市内に作家たちの力強い個性豊かな彫刻を設置することで感謝の気持ちとさせていただきます。 |
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イベントについて |
8月2日、夏の大田原風物詩である与一祭りの武者行列に参加をして市民との交流を図りました。
8月10日、子供たちや市民が公開制作をする作家に接しながら自己制作することで創造の喜びを感じ、より豊かな感性を育むことを目的とした「親子鋳物教室」と「子供テラコッタ教室」を開きました。
その他にも「子供電話美術相談」や、彫刻に興味のある県民を対象に「あなたも彫刻家」と題して、2週間ほど作家と共に制作をする機会を設けました。
いずれのイベントも多数の参加者があり、成功裏に終了することができました。 |
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展示・設置について |
11月1日より、大田原市街地に、石彫作品5点を設置し、木彫作品3点はふれあいの丘大工房展示室にて15日間展示を致します。
なお、作品は昨年同様に実行委員会に帰属され、大田原市内に設 置保存されます。 |
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